自動車の低燃費化に貢献する固体潤滑オーバレイ

摘要

低燃費性能は，自動車のセールスポイントとして重要な位置を占めるようになり，エンジン用すべり軸受においてもさらなる低フリクション特性が望まれている．Fig.1にエンジン用すべり軸受の配置概要図を示す．固体潤滑剤オーバレイをクランクジャーナル軸受に適用し低フリクション特性を向上させた事例が報告されており，本報では，スラストワッシャへの固体潤滑剤オーバレイの適用について報告する．スラストワッシャは，クランクシャフトジャーナル部センターとエンジンブロックとの間に前後4枚あるいは2枚で設置される．スラストワッシャへの負荷は，マニュアルトランスミッション（MT）やオートマチックトランスミッション（AT）でのクラッチアップ時の反力や無段変速機（CVT）の入力側プーリーの間隔拡大時の拡張力などであり，1000N程度の荷重である．固体潤滑剤コーティングが多用されているジャーナル軸受と比較し，スラストワッシャは油膜が形成されにくい．このような運転条件での試験結果について報告する．