階層的パターンのメゾスケールラスタースキャン摩擦測定

摘要

筆者らを含むグループは，2種類の金属やセラミックスを組み合わせて表面パターンを作製する方法を開発した．このナノストライプ構造の特徴は，ナノスケールの凹凸を高効率で作製できること，ヘリングボーンや溝などのパターンを自由に表面に配置できることなどである．また，摩耗したときでも凹凸が維持されるため，ナノストライプ構造を軟質金属で形成して，自動車のエンジンなどの実用的な機械の摺動両に適用することも期待できる．ナノストライプ構造の製造プロセスを調整することで，幅と深さが1μm程度のマイクロ溝と，幅と深さがそれぞれ数百nmと数十nmのナノ溝の2種類の溝を表面に配置させることができる．さらに，それらのマイクロ溝とナノ溝から構成されるマイクロ＆ナノ溝を適当な区画に形成し，その区画のパターンを基本単位として繰り返し配置することも可能である．このような階層的なパターンが存在するとき，それぞれのパターンの階層が潤滑特性に対して異なる役割を果たしている可能性がある．本報告では，ラスタースキャン摩擦試験装置を用いて，ナノストライプ構造から形成される階層的パターンの潤滑条件下での摩擦特性を明らかにすることを目的とする．まず，CuとAgのナノストライプ構造からなるマイクロ＆ナノ溝を配列させて，2種類の階層的パターン作製した．次に，ラスタースキャン摩擦試験装置に階層的パターンを有するプレート試験片を取り付け，凸面の曲率半径3.1mmの平凸光学レンズを用いて，速度を変えて摩擦係数の分布を測定し，パターンの配置と摩擦係数分布の関係について検討を行った．