水熱合成法による5族6族元素を用いた固体酸触媒合成

摘要

固体酸触媒は，化学プロセスにおいて生成物と固体酸触媒との分離が容易であり，かつ再利用が可能であるという利点がある．このため，高活性な固体酸触媒の開発が切望されている．これまで我々は，水熱合成法によりポーラス構造を有する結晶性Mo－V-O触媒の合成に成功し報告してきた．この酸化物触媒が形成する3次元固体構造は，アルカン，アルコールの液相酸化反応に高い触媒性能を示した．この調製方法は，水熱条件下において酸素八面体構造が集積したクラスターユニットから3次元固体構造の建築を行うユニット合成法である．この手法を応用すれば，種々の構成元素による触媒開発が可能となり，細孔構造を有する固体酸複合酸化物触媒への展開が期待できる．そこで，酸素八面体構造ユニット合成に有効な元素として，Mo，Ⅴの他に5族，6族元素であるW，Nb，恥を用いた複合金属酸化物触媒の合成を行い，構造の詳細や酸触媒反応の検討を行うことを目的とした．