ソフトコンピューティングと高速スクリーニングによる触媒開発（16）ニューラルネットワークによるメタノールカルポニル化触媒の最適添加物の探索

摘要

酢酸は重要な化学品中間体で，現在，年間800万トンが主にロジウム系触媒を用いる液相プロセスでメタノールのカルポニル化反応により合成されている。一方で，固体触媒を利用する気相プロセスも検討されている。著者らは安価なNiを活性炭に担持した触媒（Ni／AC）が気相反応に高い活性を示すことを見いだしている。このNi／ACは，活性が高く，二酸化炭素，水素，水，硫化水素の混入に対する耐性も有する【1】。本反応のメチル基を含む生成物は酢酸（AcOH），無水酢酸（Ac2O），酢酸メチル（AcOMe），ジメチルエーテル（DME），メタンであるが，酢酸メチル，ジメチルエーテルは，さらにカルポニル化され，酢酸へ転換される。従って副生物としてはメタンが最も望ましくないが，現状では酢酸に対して数％のメタンが副生するためその抑制が望まれる。本研究では添加物の物性データをもとに人工ニューラルネットワーク（ANN）により解析を進め，メタン抑制に有効な添加物を探索した。