自動車用ハイテンの冶金的意味と製造プロセス

摘要

自動車用部材に高強度鋼板を適用する際には今回概説したプレス成形性や衝撃特性以外にも耐疲労特性（母材，打ち抜きなどの端部，溶接部およびその他の応力集中部），溶接性，耐食性，靭性，プレス時の形状凍結性や水素起因の破壊などの課題も解決する必要がある．これらの諸特性は各々が相互に関連しており，利用される部位とその必要特性に応じて重要となる項目が変化する．今後高強度鋼板の適用を更に拡大してゆくためには，開発の初期段階から自動車メーカーと素材，部品メーカーが協力し，これら種々の利用特性上の問題を解決してゆくことが必要であろう．また，より使いやすい高強度鋼板開発や素材のグローバル供給体制構築も強く期待されている．