集合組織を考慮した圧延加工の結晶塑性有限要素解析

摘要

現在，自動車車体を軽量化することにより排出されるCO_2を削減し，地球環境問題の解決に貢献しようという機運が高まっており，その一つとしてアルミニウム合金板の自動車構造材への適用が進められている．しかし，加工時における成形性という点ではまだ課題が残されており，今後アルミニウム合金板の適用を進めていくためには成形性のさらなる向上が必要となる．金属材料の塑性異方性や成形性といった塑性特性を左右する大きな要因に結晶集合組織がある．成形性の向上にはこの集合組織の制御が重要であり，制御手法として上下のローラの周速を変えた異周速圧延をはじめとする非対称圧延プロセスが開発，提案されている．しかし，圧延プロセスを支配する条件，因子は多数あるため，実験による試行錯誤では多大な時間と費用が必要となる．そこで，集合組織を考慮した圧延加工解析技術の開発が重要となるが，例が少ないのが現状である．本研究では圧延加工による集合組織の発展を予測可能な圧延加工解析手法を開発する．