繰返し四点曲げ試験によるアクリルの粘弾性評価

摘要

従来は電卓など主に小さな製品に用いられていた液晶技術が，その発展に伴いやテレビやディスプレイなどの大型製品にも液晶が用いられるようになった．高速での切断や複雑形状に加工が容易である，くさび刃を用いた押抜きによる加工が，液晶ディスプレイに必須な偏光板の加工にも広く用いられていくと考えられる．また、偏光板などの高分子材料は金属材料と異なり，外力に対して粘弾性的な挙動を示すことが知られている．くさび形刃物を用いた樹脂加工に関する従来の研究では，弾塑性特性だけを考慮した数値解析を行っていたが，切断速度の影響や実際の変形挙動を再現するためには材料の持つ粘弾性特性を無視する事ができない．しかしながら，樹脂材料の粘弾性特性について調べた限りでは，数値計算に用いる事ができる十分な結果報告がなされていない．そこで，本報告では入手が容易であるアクリルを供試材として，繰り返し4点曲げ試験による粘弾性特性評価を行うことを目的とする．