圧縮性液体中の球形気泡運動方程式を用いた気泡流の音速に関する解析

摘要

液体中に気泡群が存在することで, 液中の音速, 分散などの音響特性に影響を及ぼすことはよく知られており, 気泡群の音響特性に関する研究は多数存在する. 気泡群の解析的な研究は, 個々の気泡の微視的な運動の解析と巨視的な視点による連続体近似の平均化方程式を用いた解析の二つの範ちゅうに分けられる.気泡群の音響特性は, 気液二相流の連続体モデルの平均化方程式によって解析されており, 実験結果とよい一致を示すことが検証されている. 一方で, 個々の気泡の挙動を記述する気泡群の数学モデル(離散モデル) が提案されており, 離散モデルや直接数値計算により, 気泡流の連続体モデルの音響特性について議論する研究例も報告されている.本研究では, 液相の圧縮性を考慮した多数の球形気泡の離散モデルを用いた解析により, 気泡流の連続体モデルの音響特性の有効限界を議論することを目的とする. 本報では, 離散モデル を用いて, 液体中を分散する多数の球形気泡と音波の干渉問題を数値計算し, ボイド率が圧力波の伝播速度に及ぼす影響を調べ, 連続体モデルの平均化方程式より得られる圧力波の伝播速度との比較検討を行う.