圧縮性気泡流中を水中音速超で高速伝播する2種類の高周波圧力波に対する弱非線形理論

摘要

著者らは最近、気泡流中の弱非線形波動に対して、周波数の高低などといったさまざまな伝播過程を適切に記述する非線形波動方程式の統一的導出法を提案した。それを用いて、実際に、Slow modeを2つの波数領域に分割し、長波と短波のそれぞれを記述する非線形波動方程式2本の系統的導出に成功した。その後、前報において、Fast modeに着目したが、非線形波動方程式として、非線形Schrodinger（NLS）方程式1本しか導くことが叶わず、それゆえ、導かれたNLS方程式は、Fast modeのどの領域を記述するのかという問いに対して、相対的観点からの回答を用意することも叶わなかった。そこで、本論文では、文献[23]と同様に、Fast modeを2つの波数領域に分割することを試みる。長波と短波の2種類の伝播を考えた結果、それぞれが、異なる種類のNLS方程式で記述されることを示し、実際にそれら2本のNLS方程式を系統的に導き、それぞれの伝揺の違いを明らかにすることが、本論文の目的である。