超並列ジタル細胞操作ステーションの開発－透明構造をもつシングルセルインジェクタの作製－

摘要

医療や医薬の分野において，生体組織の最も基本的な単位である細胞の機能解明は，重要な課題である．オリジナルの生命活動に近い形でin vitro（試験管内）で実験を行うためには，複数種の細胞を配置し，現象を再現する必要がある．これまでの細胞配置法には，流体力，光ピンセット，誘電泳動，磁気，表面弾性波を用いた手法がある．3次元配置の自由度，配置精度，複数種細胞の配置，配置数の両立した，多用途の細胞操作システムは開発されていない．本研究では，単一細胞を高精度かつ超並列に集め，ハイスループットに細胞機能を解明するための細胞操作ステーションの開発を進めている．図1に開発目標として「透明型細胞操作ステーション」の模式図を提示する．上部はPDMS 製の流路と貫通穴からなる透明構造を持つセルインジェクタで，下部はガラスとITO電極からなるセルフィーダである．従来はSiや金属を用いて構造が作られるため光学顕微鏡の観察が難しい課題があったので，観察に適するように，材料を透明材料に限定して透明とする．本論文ではセルインジェクタにおいて，作製方法を示し，圧力と電場駆動力により，貫通穴から蛍光微粒子を混合した液体の吐出·吸入を行い，基礎特性の評価を行う．