適応的な生産実施のための動的生産プランニングのフレームワーク―計画における選択性の分析

摘要

生産現場で日々起こる変化は，内的事象と外的事象の2つに分類できる．内的事象は，機械故障，作業者の欠員，原材料の不良，工具の破損等であり，外的事象は，計画外の注文の発生／取消，顧客の仕様変更要求，部品納品遅れ等である．このような動的に発生する変化が原因で，現行スケジュールの実行が不可能や不適切になることがあり，変化への対応に生産管理者は工程設計案の変更や生産設備の振替などといった様々な手段を取る．しかしながら，こうした対応は経験に基づいて行われることが多く，経験の少ない生産管理者や新しい生産システムでは適切に対応することが難しい．生産活動の計画の諸段階において複数の可能性がある場合，それを生産プランニングの選択性(option)と本研究では呼ぶ．優れた生産管理者は，多々存在する選択性の中から一つまたは複数の選択性に注目して，とるべき条件や手段を変更してスケジュールを立案し，変化に適応した生産実施の指示を行う．本研究では，動的変化に適応し生産実施を行うための動的な生産プランニングのフレームワークを分析·定式化し，研究開発されている各種の手法の適用領域と前提条件などを明らかにすることを目的とする．本報では，適応的な生産実施のために可能な各計画段階における選択性の分析を行う．