実環境のレーザ計測点群内における人間行動シミュレーションとそのアクセシビリティ評価への応用(第4報)－らせh階段と坂道を含む屋内·屋外環境上での歩行シミュレーション機能の開発

摘要

近年，大規模環境における人間行動シミュレーションに関する研究が活発に行われ，避難シミュレーションなどに応用されている[1]．しかしながら，これらのシミュレーションのための3 次元の大規模環境モデルは，設計時のCAD データや図面に基づき人手で構築する必要があるため，as-built 環境が詳細に再現されず，多大なコストが発生するといった問題がある．そこで本研究では，3 次元レーザスキャナにより実環境を計測して得られた高密度な3 次元点群から，人間行動シミュレーションのための環境モデルを高精度かつ低コストに自動構築する技術を実現し，さらに，環境モデル上でのコンピュータマネキンを用いた人間行動シミュレーションに基づき，実環境のアクセシビリティ[2]を定量的に総合評価する手法を開発する．図1 に示すように，これまで著者らは屋内環境の3 次元計測点群から環境モデルを構築し，得られた環境モデル上でコンピュータマネキンが自律的に経路選択を行いながら歩行可能なシミュレーション機能[3]を開発してきた．しかし，単純な廊下と階段のみを含む環境の点群内での歩行しか行えなかった．そこで本報では，より複雑で大規模な実環境（らせh階段を含む2 階建ての屋内環境，ラフな坂道を含む屋外環境）の計測点群からの環境モデルの構築，およびそのモデル内での基本歩行シミュレーションを可能とする改良を行ったので報告する．