サービス工学に基づくサービスCADシステムの構築（第46報）-モノとコトの統合モデルによる製品サービスシステム（PSS）の類型分析

摘要

製品の高付加価値化·環境負荷低減を背景に，製品とサービスとを一体化して価値を生み出す「製品サービスシステム」（Product Service System：以下PSS）に関する研究が，欧州を中心に1990 年代より行われてきた． PSS の基本的な考えは，「製品そのものではなく製品の生み出す“機能”」を提供することにある．こうした理由から，近年のサービス科学·工学研究と相まって，PSS は更なる注目を集めている．分析／設計対象としてのPSS は，物理的製品としてのモノと，人間活動によるコトによって構成される．より質の高いPSS を設計·開発していく上では，従来別々に扱われることが多かったモノとコトの関係性について理解し，単なる組み合わせに依らない高度な統合が重要である．本稿では代表的なPSS の類型に対し，単純な製品販売形態からの変遷について，著者らが考案中のモノとコトの統合モデル[2]を用いて分析する．これにより，PSS の類型に対する分析·理解を深めるだけでなく，モデル化手法の有効性について検証する．