ボロン酸誘導体による二リン酸特異的結合様式の発見と新規ピロリン酸検出法への展開

摘要

本研究では、PPiを選択的かつ繰り返し捉えることが出来る機能性分子としてボロン酸化合物に着目した。すなわち、ボロン酸と水酸基を有する化合物が可逆的に共有結合する性質を利用して、PPi の水酸基に対してボロン酸基が安定なエステル錯体を形成するものと考えた。ボロン酸誘導体の中でも 3-ピリジルボロン酸（3-PyBA）は極めて低い pKa を持つことから、生理環境下において水酸基と高い親和性を示すことが報告されている。2 本研究では、3-PyBA 基と PPi 基間結合の相互作用を ~(11)B-および ~(31)P- 核磁気共鳴 (NMR）測定また質量分析法（MS）によって評価し、その平衡定数と結合形態について考察した。さらに 3-PyBA 基含有化合物を電界効果トランジスタ（FET）のゲート表面に固定化した“PPi 認識トランジスタ”を構築し、電位計測による新たな PPi 検出法を提案する。