粒子法と磁気モーメント法を用いたボンド磁石の射出成形プロセス解析

摘要

ボンド磁石は，磁石粉末と樹脂を混ぜ合わせて成形した磁石である．ボンド磁石は，小型·複雑形状に成形できる利点があるが，成形品の密度や磁気特性にばらつきがある欠点がある．その原因として，成形中の材料分布や挙動を制御できないことが挙げられる．これは，成形プロセスが金型内で進行するので成形中の樹脂の挙動を観測することが困難であり経験に頼っていることが要因である．この結果，実験的にボンド磁石の射出成形の最適パラメータを求めるには，実験による数多くの試行が必要となりその最適化を困難なものにしている．そこで，数値解析によるボンド磁石の成形プロセスシミュレーションを行い，成形過程における支配的なパラメータを明らかにすることが重要だと考えられる．本報告では，粒子法を用いた流体解析，温度解析および磁気モーメント法を用いた磁界解析の連成解析手法を提案し，ボンド磁石の射出成形プロセスにおける樹脂の充填時の挙動予測を試み有用な結果が得られたので報告する．