パワーエレクトロニクスシステムにおける実践的モデリングとシミュレーション技術: 総論

摘要

パワーエレクトロニクス（以下，PE）システムはスイッチング素子や受動素子で構成される電力変換器，バッテリなどの電源装置，モータなどの負荷によって構成される。これらの構成要素は日進月歩で性能が向上しており，PEシステムの高効率化や高性能化，地球環境問題対策などの実現を目指して多様な研究開発が続けられている。これらの研究開発において，現在ではシミュレーションが必要不可欠となっている。構成要素やシステムの設計，基本動作検証をはじめとして，Software In the Loop Simulation（SILS）やHardware In the Loop Simulation（HILS）のようにシステムを構成する一部の実機が用意されていなくても，シミュレーションを用いてシステムの挙動を把握したり，実機において複数の原因要素が相互に干渉し合うような現象の解明に適用されたりしている。さらにはメーカの製造工程においては実機試作の代替えとしての高精度シミュレーション技法の開発も試みられている。このように，モデリングとシミュレーション技術に対するニーズはさらに高まっている。