家庭用燃料電池の運用コスト削減を目的としたロバスト運用計画決定手法の一検討

摘要

CO_2排出量削減などの観点から需要家による省エネルギー対策が求められている中で、家庭における分散型電源として固体高分子形燃料電池·コジェネレーションシステム（PEFC-CGS）の普及が拡大してきている。PEFC-CGSは発電と同時に排熱を利用することで給湯需要を満たすことができ、高効率かつ省エネルギー性に優れたシステムである。家庭の需要に合わせた運用計画を作成し、それに合わせた蓄熱を行うことでさらに効率的な運用が可能となることから、家庭の需要を予め予測し、それに基づいた運用計画を作成する手法が先行的に提案されているが、需要予測の結果の誤差の削減が必ずしも効率的な燃料電池の運用に結びつかないといった課題があった。そこで我々は、運用計画に対して期待される運用コストを直接的に予測·評価することで運用計画を決定する手法を提案し、その有用性を確認してきた。だが、家庭の需要はばらつきが大きく、日によっては需要予測に基づく手法より非効率的な運用となるケースが存在することから、作成される運用計画には予測誤差の影響を受けにくく長期的な運用コスト削減を可能とするロバスト性が求められる。本稿では、先行的に提案されている需要予測の誤差を考慮に入れた燃料電池の運用計画決定手法を応用し、「運用コストの予測誤差」の影響を考慮に入れた運用計画作成手法を提案し、補正を行わない場合と比較を行い、その有用性を検討する。