実機モータコイルにおけるインパルス電圧下の部分放電開始電圧に対する繰り返し周波数特性

摘要

インバータ駆動モータにおいて，インバータのスイッチング時にモータ端におけるインピーダンス不整合により，インバータサージと称されるサージ高電圧が発生する課題がある．部分放電開始電圧（PDIV：Partial Discharge Inception Voltage）を上回るサージ電圧が生じると，エナメル電線を用いた乱巻きモータではエナメル皮膜が部分放電により損傷を受け，最悪の場合には絶縁破壊に至る．国際電気規格（IEC）では，インバータ駆動モータコイル絶縁試験法としてIEC60034-18-41（以下，IEC-41）を発行している．文献（1）の海外製の乱巻きモータのステータコイルを用いた共通試験では，IEC-41に基づいてインバータサージを模擬した繰り返しインパルス電圧下のPDIV（RPDIV：Repetitive PDIV）を測定している．IEC-41では試験電圧波形の立ち上がり時間とパルス幅について規定しているが，繰り返し周波数や極性については規定されていない．本講演では，共通試験と同じ乱巻きモータコイルを用いて，PDIVの繰り返し周波数特性を測定した結果を報告する．