直流電車線における析出強化型銅合金トロリ線の耐摩耗性能について

摘要

電気鉄道においては、トロリ線、パンタグラフすり板のしゆう動部を介して車両への電力の供給を行っている。近年、旅客列車運行区間のパンタグラフのすり板が焼結合金すり板からカーボンすり板化されたことにより、トロリ線の摩耗が軽減されている。しかし、貨物列車運行区間では、機関車のパンタグラフすり板が、現在でも焼結合金すり板であるため、トロリ線の摩耗が著しい箇所が発生している。貨物列車は旅客列車に比べ1編成あたりのパンタグラフ数は少ないものの、上下線の車両が同一線路を走行する単線区間等では、トロリ線の摩耗が著しい要注意箇所が多く、トロリ線張替頻度が高くなっている。このようなトロリ線の摩耗が著しい箇所において、耐摩耗性に優れる析出強化型銅合金トロリ線（以下GT-PHCトロリ線という）の試行導入を行い、その摩耗傾向と耐摩耗性能について検証したので、以下に報告する。