電気自動車用25kW走行中非接触給電システムの高速道路への展開検討

摘要

日本の二酸化炭素排出量（12億6，500万トン）のうち、運輸部門からの排出量（2億1，700万トン）は17.2%、自動車全体では運輸部門の86.0%（日本全体の14.8%）、うち、旅客自動車が運輸部門の50.8%（日本全体の8.7%）、貨物自動車が運輸部門の35.1%（日本全体の6.0%）を排出しているとされている．一方、環境負荷軽減のためエネルギー効率の高い電気自動車（EV）の普及が望まれているが、EVは、ガソリン車に比べ走行距離が短い·充填時間が長いなど課題があり、特に高速道路利用には不向きとされている．また、国内では高速道路走行を可能とする大型EVの開発などは発表されておらず、環境負荷低減のためにも、早急な開発が望まれるところである．さて、小型車におけるEVとしての必要航続距離の委提案である．2010年の道路交通センサスから小型車の高速道路利用動向を基に走行距離を分析した結果、高速道路利用の前後の一般道走行距離の平均では10.7kmで、全体の9割（90%クイル値）の小型車はその距離が21km以下となっていた（Fig.1）．また高速道路本線の走行距離では90%クイル値が85kmであった．よってEVでの高速道路を利用しての多くの利用シーンをカバーできる往復254kmの航続距離を、停車しての長時間充電無しで走行できる環境を整備することが、EV普及に大きく貢献すると考える．本稿ではこれらを背景に走行中非接触給電の社会実装検討材料としてインフラ側整備である配電設備の検討を行ったものである．