溶湯鍛造技術による鋳鉄製金型製法の構築

摘要

本研究は，金型材料にFCD を採用し，溶湯鍛造により製作する手法の実現を目指した．FCD を金型材料とするには，鋳造時の凝固収縮による形状精度不良と鋳巣による強度低下を考慮する必要がある．この課題に対して，筆者らは，鋳鉄用の溶湯鍛造技術の実現の可能性を探った．この製法では，溶融状態のFCD を加圧したまま凝固させることで，形状精度の維持と，鋳巣発生の抑制が期待される．これにより，金型製作工程から形状加工，放電加工，手磨き加工を省略することが可能となり，延べ製作時間の短縮が可能となると考えた．また，鋳巣の発生の抑制による強度低下を防止し，ダイカスト製法への適用が可能になると考えた．本稿では，HPDC 用金型の溶湯鍛造による製法構築過程と，実用化に向けた検証結果について述べる．