無信号交差点通過時の運転行動に基づく高齢者の衝突リスク知覚評価指標

摘要

現代，我が国の高齢運転者による交通事故件数は依然減少しておらず，高齢者が関与した交通事故では，第一当事者となる率が高い傾向であり，高齢者は交通事故に繋がり得る不安全な運転行動を起こしやすいといえる．高齢運転者の不安全な運転行動の要因として，加齢に伴う身体能力や認知能力の低下が挙げられる．運転行動の過程を，交通環境を入力とした認知，判断，操作の結果，車両状態が出力される一連の過程であると考えたとき，その初期段階に関わる認知過程における特性（認知能力）の出力は，判断や操作過程に影響する．また，認知能力の低下は個人差が大きく，その能力の低下による不安全運転行動を抑止するには，各高齢運転者の認知能力を評価し，低下した認知能力に応じた不安全行動を抑制する支援を行う必要がある．