遠隔型自動運転システムにおける遠隔操作時の映像遅延が操舵の操作に与える影響の評価

摘要

本論文では，カメラ映像を使用した低速車両の遠隔操作において，映像情報が遅延する際に，どの程度の遅延時間まで，車両の低速回送等の操作を行うことができるのかを検証した結果を報告する.現在，限定地域における近距離移動を支援し，高齢化が進む地域の生活の質の向上や観光地の活性化を目的とした，限定地域での無人自動運転移動サービスの実証が進められている.このような自動運転システムは，『ラストワンマイル自動走行システム』，『ラストマイル自動走行システム』，『端末交通システム』，『ワンマイルモビリティ』等と呼ばれ，公共交通や幹線道路から，家庭や目的地までの数km程度の範囲限定かつ低速の自動運転のことであり，『高齢者や子育て世代，車いす利用者等の移動制約者にも優しい移動手段の提供と移動制約者のQOL(quality of life)向上に貢献する』とされている.従来，無人の自動運転は，レベル4の自動運転として位置づけられ，その実用化期待時期はレベル3自動運転の後とされていた.しかし，高齢化が進む地域などにおけるレベル4型の自動運転の早期実現の期待の高まりを反映して，その実用化の期待時期が前に移動した.たとえば，2017 年のITS ロードマップでは，自家用とは別に移動サービスとして，限定地域での無人自動運転移動サービスの実現が2020 年まで，とされている.