次世代脚部インパクタ縮尺模型を用いた脚部傷害の検討

摘要

歩行者事故における重傷者の損傷部位として最も多いのが脚部であり，例年3割を超えている．現在，車両の脚部保護性能を評価するため，フレキシブル脚部インパクタ(Flexible Pedestrian Legform Impactor：FlexPLI）を用いた歩行者脚部保護試験が行われている．FlexPLIは，脚部のみが再現されているために上体部の挙動が再現できず，それゆえ試験実施可能な車両高さに制限がある．近年増加傾向にあるSUV タイプを含む高バンパ車両の多くはこの制限を超えているのが現状である．より多くの車両前面部構造に対応するため，次世代脚部インパクタ（advanced Pedestrian Legform Impactor： apLI）の開発が日本自動車研究所(Japan Automobile Research Institute：JARI）や日本自動車工業会（Japan Automobile Manufacture Association：JAMA）を中心に進められている．apLIはFlexPLIの上端に簡易上体部（Simplified Upper Body Part：SUBP）が付与され，上体部の挙動が再現可能となっている．さらに，質量分布や人体特性を有する股関節の再現など生体忠実性のさらなる向上が期待されている．