ドライバとクルマの協調型自動運転における包括的ヒューマンマシンインターフェースのあり方の提言（第１報）

摘要

レベル3 自動運転においてはクルマ側自動運転機能での対処が困難になった場合にドライバへの権限委譲が必要となる。あるいは、自動運転機能側で複数の運転戦略の選択肢が発生し、ドライバへの問いかけが必要になると考えられる。いずれの場合においても、認知負荷が課題にならない範囲内でドライバは現在の車両状態、周囲環境状態を把握しておく必要がある。ドライバを自動運転制御のループ内に常に組み込み、現状を直感的に把握できる表示装置と、ドライバの運転委譲を自発的に行うための操作装置を提供することが考えられる。さらに、ドライバへの運転委譲のための猶予時間を保つために、クルマはこのような事態を先読みする機能が必要になる。このような表示装置·操作装置(HMI)を実現するためには従来のような、固定化した表示·操作装置ではなく、状況に応じた表示·操作入力を可変して行うコンセプトが必要である。道路状況等を先読み、猶予時間を与えたうえで運転委譲するしくみとして、見通し距離また見通し距離を越えた道路状況等を与える方法がある。後者に関しては、前方車から得られる情報を通信により後続車に伝えるシステムが有効である。本稿では弊社でこれらについて開発を進めている、自動運転用のHolistic HMI(包括的HMI)およびクラウドを活用した環境情報収集配布システムについて解説する。