表面張力を応用したコロイダルシリンダの車両用サスペンションとしての可能性検討

摘要

21世紀に入って原油の枯渇問題及び環境問題等から，より経済指標の優れた小型·軽量な車つくりが求められている中，ばねとダンパが一部品で構成できる新概念のコロイダルダンパの研究発表が近年盛hに発表されている．この技術は1996年のEroshenko Valentinの特許，1997年の論文発表∽で提案され，日本では岩壷，SUCIUらが基礎的，実証検証結果を多く発表している．コロイダルダンパの概要は，水と疎水化シリカゲルの混合コロイド溶液を作り，シリカゲル粒子内の細孔部に浸入·出水する水の表面張力を利用してばね特性と減衰特性を実現する緩衝装置である．筆者はこの技術をより具体的に進め，乗用車用サスペンションに適用したコロイダルシリンダを設計構成し，車高保持機能とばね·減衰機能の性能確認を単輪ベースのベンチ評価と実車を使ったベンチおよび実路走行評価を行い，設計手法を明確にした上で，この技術の車両用懸架装置としての可能性を検証したので，その結果について報告する．