油膜によるスカート変形を考慮したフリクション低減のためのピストン最適設計に関する研究 第一報：油膜がピストンスカート変形に及ぼす影響

摘要

地球環境温暖化抑制として，乗用車用エンジンの低燃費化は非常に強い要求があり，エンジン低フリクション化，軽量化は重要な課題であり、特にエンジン全体の機械損失のうち20～30％を占めるピストンの摩擦損失低減は重要な低燃費技術課題の一つである。ピストンによる摩擦力低減の取組みは、①スカート表面性状等の改質②スカート構造の最適化がある。従来、ピストン低摩擦スカート構造の化研究は、スカート仕様の変化（テーパー形状·オーバル形状·構造等）とピストン系摩擦力計測との相関把握や、スカート部油膜挙動の可視化との対比により、スカート低摩擦力化の方向性を論じられていた。しかしながら、スカート低摩擦力構造の精度の高い検討には、スカート廻りに生じる機械的荷重とスカート<=>シリンダーライナー間の油膜反力による弾性油膜変形(以下EHL; Elastic Hydro lubrication)の影響を考慮する必要がある。そこで我々はピストンスカート部低摩擦力化設計法の高精度化を目的として、まず手始めに、ピストンスカート部可視化用単気筒エンジンを用いて、スカート部の油膜分布と同時に、スカート内部に貼り付けた歪ゲージにより、スカートの歪を測定することで、それらの関係を確認した。その結果、スカートの歪は油膜分布の影響を受けることがわかった。