自動車事故における部品の落下についての研究（第2報）－衝突実験に基づく部品落下機序の分類とその特徴

摘要

衝突地点によって過失割合が大きく変化する等，交通事故の原因調査および再現において衝突地点の特定は非常に重要である事が多い．ところが，全ての当事者が重篤な傷害を負い病院へ搬送される等により証言が一切得られない場合には，路面に残されたタイヤ痕，破損部品の散乱状態といった客観的な物理的事象のみを基に衝突地点を特定しなければならない．また，事故当事者や目撃者の証言は曖昧である事も多い為，そのような主観的情報のみから最終的な判断を下すには十分な注意が必要となる．即ち，事故状況の正確な把握の為には客観的な物理的事象をできるだけ多く採用し，それらを主体とした総合的な検討を実施する事が重要である．