資源と作業時間のトレードオフを考慮したロバスト·スケジューリング法に関する基礎的検討

摘要

プロジェクトの実行過程において，作業時間の延長等にともない後続作業の開始時刻はもとよりプロジェクト全体が遅延し，予算外の在庫費用や人件費などが生じることが少なくはない．そのため現実のプロジェクト管理では，遅延による費用を考慮しつつ作業の所要時間と資源量を，多くの場合経験則に基づいて見積もることとなる．このような状況の下，本研究では作業の工数見積もり（所要時間と必要資源量の同時的見積もり）と，プロジェクト·スケジュールの生成という二つの意思決定プロセスを内包する新たなロバスト·スケジューリングの枠組みを考える．ここではその基礎検討として，プロジェクトを構成する作業の所要時間と必要資源量を適切に見積もるための手法を提案する．具体的には，プロジェクトの実行過程において生じる作業遅延の費用を定義し，その総費用（以下，遅延費用）を可能な限り最小とするような，各作業の所要時間および必要資源量を決定する．数値実験では，遅延費用の観点から，提案手法により得られる作業の所要時間と必要資源量の妥当性を検討する．