プロダクトスペースによる自動車部品製造ポートフォリオの企業戦略分析

摘要

本研究では多数行われてきたサプライネットワークのモデル化と実データとの乖離を複雑ネットワークアプローチによる実データ解析を通して検証し, 部品同士の関係性とそれに伴う企業の製造戦略の実態を紐解き, サプライヤの経営戦略の示唆を得ることを目的とする. その際, サプライヤの戦略分析するために, 企業の製造戦略を反映しているポートフォリオを分析することが有用である. しかし,これらは独立ではなく, 互いに影響し合っているため, 製品の流れを示したサプライネットワークではなく, ポートフォリオを反映したネットワークを分析することが必要不可欠である. 具体的にはまず,実データから得られたネットワークとモデル化したネットワークをプロダクトスペースという手法を用いて分析·比較し, モデル化と実データとの乖離を検証する. その後, 今までミクロやマクロに絞った研究では見ることができなかった, 部品の特徴を反映した供給構造の多様性とサプライヤごとの製造能力の違いを解析するため, 企業がどのような部品を同時に作っているかというポートフォリオ戦略に関して焦点を絞り現状分析することで, サプライヤの製造戦略に関する示唆を得る.