擬似観測量の概念を用いた線形確率システムへの未知外生入力の同定

摘要

システム方程式に未知パラメータを含む場合には，その未知パラメータの同定とシステム状態量の推定という2つの問題を解決しなければならない．通常そのような問題では，未知パラメータを新しいシステム状態変数とみて拡大システムを構成し，それに対してカルマンフィルタを導くという方法がとられる．しかし，この方法では，例え本来システムが可観測であったとしても，拡大システムが可観測になるという保証はない．それは観測機構がシステムの状態量を観測するために構成されているものであって，未知パラメータをも直接に観測されるようにはなっていないためである．したがって，このような方法では未知パラメータの推定精度は当然悪い．そこで本論文では，逆問題の一種としてシステムモデルに含まれる未知パラメータベクトルの同定問題に対して擬似観測量のアイデアを導入することを考える．具体的には，システムに印加される未知外生入力を同定する問題について考察する．