手術当日に来院し帰宅するという日帰り手術は,患者の生活への影響が小さく,経済的負担も軽くできるため,近年よく行われるようになってきている.患者の術後の速やかな回復および帰宅後の安全確保のためには,薬物の投与量を可能な限り抑えることが望ましいので,患者の鎮静度を常に適切なレベルに維持することで,投与量抑制を達成する麻酔薬投与速度の自動制御システムの開発が盛hに行われている.最近では,麻酔導入時の負担が小さい静脈麻酔薬と覚醒時間が調節可能な吸入麻酔薬の両方の特長を利用して,麻酔導入を静脈麻酔薬で,麻酔維持を吸入麻酔薬で行うという麻酔法が利用されてきている.しかし,従来の自動制御システムは主に静脈麻酔薬を利用したものである.また,麻酔薬を併用した場合についても自動制御システムの開発が行われているが,相互作用を表すモデルが適切でないという問題があった.そこで本研究では,静脈麻酔薬と吸入麻酔薬の相互作用を適切に考慮したモデルを利用して,モデル予測制御による鎮静度制御システムを構成する.なお本研究では,静脈麻酔薬としてpropofol,吸入麻酔薬としてsevoflurane,鎮静度の指標として脳波に基づくBispectral Index (BIS) を用いる.
展开▼