二硫化モリブデンを用いたコバルトレス超硬合金の微細V溝正面切削

摘要

硬脆材料であるコバルトレス超硬合金に微細V溝正面切削を施した精密金型を加工するために，切削油剤がダイヤモンド工具寿命に及ぼす影響について考察する．先行研究において，ナノ多結晶ダイヤモンド（NPD）は，単結晶ダイヤモンド工具と比べて優れた耐摩耗性を有すること，またジアルキルジオリン酸亜鉛（ZnDTP）溶剤は，ダイヤモンド工具に対して優れた刃先損耗抑制効果があることがわかった．本報では，新しく開発したMoS_2ナノチューブを植物油に均一分散させた切削油剤を試作し，すくい角0°と-30°のナノ多結晶ダイヤモンド工具を用いてコバルトレス超硬合金の微細V溝正面切削を行い，刃先損耗抑制効果について評価した．その結果，-30°のすくい角を有するNPD工具によりMoS_2ナノチューブ分散油剤を用いて正面切削した際に，最も優れたダイヤモンド工具摩耗効果が得られることがわかった．