近赤外レーザー誘起表面波法を用いた粘性率高速センシングに関する研究―実用化に向けた液面高さ制御システムの開発

摘要

粘性率は流体の流動性を定量的に示す熱物性値であり,医療·食品·工業など様々な分野で必要とされている．医療分野では健康状態の評価指標として用いられ,食品分野では定量的な品質管理への利用が検討されている．特に,大量検体の血液測定や食品製造ラインでのin-situ 測定に求められる要素として,非接触かつ複数試料の高速連続測定が挙げられる．しかし,従来法はサンプリングを必要とするものが多く,これらの要素を満たすことは困難である．そこで本研究は,nm オーダーの微細な表面波の減衰挙動を検知することにより,1 ms 以内での高速測定が原理的に可能である,レーザー誘起表面波（Laser-induced Capillary Wave）法を用いた非接触高速粘性率測定装置の開発を行っている．本報では,実用的な高速測定の実現に向けて液面高さ制御システムの開発を行い,複数試料の1 パルス連続測定を行った結果について報告する．