双方向性を組み込hだ触覚センシングシステムのための触覚提示装置に関する検討

摘要

腹腔鏡下手術は，その低侵襲性で，術後の痛みがほとhどない，回復が早い，美容的観点からも優れているなど，多くの特長を有している．しかし，腹腔鏡下手術では，触覚が制限されるため，術者が開腹手術のような手指を生かした触診ができない．腹腔鏡下手術へ触覚が導入できれば，根治性と過剰な切除を行わない低侵襲性が一層向上する．筆者らは，ヒトの触知覚における双方向性に着目し，これを組み込hだ触覚センシングシステムを開発している．術者がセンサ信号を体感できることで，触知覚の双方向性が成り立ち，適切に鉗子を操作し，より良いセンシングが可能となる．これまでに，生体安全性に優れた音響式センサを開発し，触覚提示装置にスピーカを用いた．しかし，本システムは両手操作を必要とするが，腹腔鏡下手術では，術者が両手でそれぞれ鉗子を操作する場合が多いため，システムを片手で操作できるようにする必要がある．そこで本稿では，提案する触覚センシングシステムにおいて片手操作が可能な触覚提示装置を試作し，その有効について検討する．