小型移動ロボットを用いたラットの社会性評価のための新たな実験系の構築(第6報:乗りかかり行動が可能なラット形アニマロイドの開発)

摘要

近年，先進諸国における精神疾患患者の数は増加傾向にある．こうした状況のなか，精神疾患治療の分野にも注目が集まり，臨床·基礎の領域においてそれぞれ研究が進められている．基礎領域では，主にラットやマウスなどげっ歯類を用いた動物実験が行われ，様々な疾患症状を再現した疾患モデル動物の作成や疾患に効果のある新治療薬の開発が進められている．それにともない，動物実験における不安関連行動の評価法も確立され，抗不安薬候補物質のスクリーニング等に応用されている．こうした不安関連の行動評価系には，オープンフィールド試験，ホールボード試験，高架式十字迷路，社会相互作用テストなどが挙げられる[1]．本研究では，精神疾患の原因と考えられる社会的ストレスが及ぼす社会的行動の変容を調査するために，前述の社会相互作用テストに着目している．