ロボット産業の発展を見据えた研究開発課題

摘要

近年，我が国産業競争力の牽引役とされてきた一部の産業について，新興国の台頭や震災，円高，エネルギー供給不安等により，その存在感が揺らぎ始めており，21世紀の「技術立国日本」の原動力となるべき産業の強化と育成が急務となっている．また，我が国の産業競争力の一翼を担う産業用ロボット分野についても，旺盛な海外需要に支えられて堅調さを維持してきたものの，国内製造業の空洞化（海外移転），欧米における活発な技術開発や共通オープンプラットフォーム化の動きに加え，今後は，新興国の景気減速や技術力向上による内製化等も懸念されている．本稿では，今後も我が国のロボット産業が，競争力の源泉となる技術力を高めつつ，国富の担い手として世界で伍してゆくために必要な研究開発課題，中長期的なビジネスのあり方等について，産業用ロボットを中心にまとめてみた．