サブクール状態における撥水斑点上の単一気泡の挙動におよぼす溶存空気の影響

摘要

沸騰熱伝達は優れた伝熱性能を有し，原子力·火力発電や冷凍機·ヒートポンプの蒸発器，電子機器冷却など産業界で広く利用されている．沸騰現象に影響するパラメータは種々存在するが，伝熱面の濡れ性は主要なパラメータの一つであり，濡れ性を制御することで限界熱流束および熱伝達率の向上や沸騰開始過熱度の低減が可能である.我々のこれまでの親水·撥水複合伝熱面上のサブクール沸騰の研究において，試験液中の溶存空気により，撥水面上から飽和温度以下の伝熱面温度で発泡が開始することや，低熱流東城で熱伝達が促進されること，また，気泡の形状が溶存空気の多寡により異なることが明らかとなった．本研究では，撥水面上の気泡の挙動におよぼす溶存空気の影響をより詳細に検討することを目的に，溶存空気量の異なる二つの実験条件下で，ハイスピードカメラによる単一気泡挙動の観察および離脱頻度·直径の測定を行ったので報告する．