移動接触線蒸発モデルによるメニスカス近傍の蒸発現象への接触線速度の影響評価

摘要

本研究で用いる移動接触線蒸発モデルは，連続の式，Navier-Stokesの式，エネルギー式を支配方程式とした．気液界面にはHeltz-Knudsen-Schrageの式で蒸発の物質流束を与えた．また，界面曲率に起因するラプラス圧，液薄膜で生じる分離圧，蒸発に伴う反跳力を考慮した．Figure 1（a）に示した解析モデルにて，壁面速度を与えることにより，接触線速度を模擬した．FC-72を作動流体とし，固体壁はクロムを仮定した．結果の一例として，メニスカス形状から算出した接触角の接触線速度依存性をFig.1（b）に示す.壁面過熱度の増加に伴い，接触角が増加していることがわかる．さらに前進接触角と後退接触角の切り替わりを示す変曲点が，壁面過熱度が高いほど負の接触線速度側に寄ることが示された．