モニタリングに基づく物質動態広域評価の最前線 —広域における炭素、窒素、水の動態を探る一7.現場観測の知見に基づくモデルを用いた 地域スケールの広域評価

摘要

第7回となる今回は，観測知見をベースとしたモデルを 用いて流域国スケールの物質動態を広域評価する手法に つレ3て紹介する.観測の知見に基づく炭素や窒素といった 物質の動態を予測するプロセスモデルは，例えば，農業研 究分野であれば圃場スケ一ル，森林研究分野であれば数 ha程度の群落や小流域スケールといった比較的小さい面 積を対象にして開発される.このような小さい面積を対象 にした既存のモデルをより広い範囲に適用し，広域におけ る物質動態を推定しょうとする際は，基本的に既存の モデルで広域に適用可能なものがあるか検討し，なければ 予測のためのモデルを新規開発する，広域推定するた めの入力値を収集する，3)モデルと入力値を用いて推定 量を算出する，得られた推定量を評価する，というス テツプを踏hで進められる.この過程のなかで，のス テップが重要であることは自明であるせ,の入力値収 集もまた広域推定において極めて重要である.入力値が集 まらない，あるいは手に入っても信頼度の低いものである 場合は結果として得られる推定値の不確実性が高くなるからである.においては，使用する計算機の性能は研究 を律速する要因の一つであり，大型計算機の活用は計算の 大規模化に伴い不可避となる.そして，4)の推定量評価 は広域評価のそもそもの目的であり，現在，より精度の高 い予測を実現するために，の各プロセスにおいて 試行錯誤が重ねられている.本講座においては実際の事例 をもとに，試行錯誤も含む観測値に基づく広域評価のプロ セスを3つ紹介する.