火炎風下に発生する竜巻状の渦に主流風速と発熱速度が与える影響

摘要

市街地火災や林野火災のような広域火災では，火災旋風と呼ばれる竜巻状の渦が発生して強風による被害を引き起こすことがある．この竜巻状の渦は火災域の風下で目撃されることが多く，この渦の発生メカニズムや，一条件下での渦の速度場は調べられてきた．しかし，複数の条件を系統的に変えて，この渦とその周囲の速度場を詳細に調べた例はない．様々な条件がこの渦とその周囲の速度場に与える影響を明らかにすることは，この渦の発生メカニズムを解明する上で，さらに，渦による強風に対する防災対策を立てる上で重要である．そこで本研究では，火災前線を模擬した細長い火源に風をあて，その主流風速と火源の発熱速度が，火源風下に発生する竜巻状の渦の循環，渦核のサイズ，最大速度に与える影響を調べた．