相変化マイクロカプセル懸濁液を利用した電子機器冷却の基礎研究（循環型実験装置における微細円管内強制対流熱伝達特性）

摘要

近年，電子機器の小型化や高集積化が進み，発熱密度の増加が問題となっている．解決策として，熱輸送性能の高い相変化マイクロカプセル（MEPCM）懸濁液を用いた液体冷却が注目されている．さらに，微小流路を用いることで，体積あたりの伝熱面積が拡大され効率的な冷却が可能となる．これまでに様々な研究がされているが，未だ懸濁液中のMEPCMの流動状態における熱交換器内での融解熱伝達など基本的な伝熱特性や流動特性は，十分に把握されていない状況である．本研究では，小型化に適した電子機器液冷技術の開発を目指し，微細流路にMEPCM を添加した流体を供給し，MEPCMが熱輸送性能に及ぼす影響を調査する．これまでの研究では非循環で実験を行ったので，本稿では，実際に電子機器に用いることを想定し，作動流体を循環させて実験を行い，MEPCM懸濁液の流動状態における微細流路内での基礎的な伝熱特性を調査することを目的とする．