ミスト噴霧と円柱挿入による後向きステップ下流の複合伝熱促進

摘要

主流に空気を用いた強制対流伝熱場流路内に，微量かつ微小なミストを局所的に付加し，その蒸発潜熱を利用することによる壁面の伝熱促進が可能である．局所的に付加されたミストは主流中で蒸発し，その潜熱により主流空気の温度を低下させる．そして冷却された空気が伝熱面に近づくことで，壁面近傍の温度勾配が高まり伝熱面と主流との熱移動を促進させる．なお本研究で用いるミストは，主流空気に対する質量比が1%未満程度の微量かつミストの平均粒径10μm以下の微小なミストであり，流れ場の速度分布に大きな影響を与えない．すなわち速度境界層には影響を与えずに温度境界層のみを変化させて熱伝達の促進を図るものである．我々はこれまで，はく離·再付着の代表的な流れ場である後向きステップ流れに対して本手法を適用し，種々のパラメータが伝熱·流動特性におよぼす影響について検討をおこなった．その結果，ミスト蒸発位置と伝熱面との関係が熱伝達率向上に大きく影響を与えることを明らかにした．本報ではさらなる伝熱促進効果の向上のため，ステップ付近に円柱を挿入し流れ場を変えた場合における微量·微小ミスト付加による複合伝熱促進効果について実験·検討を行った．