リチウム空気電池電解液における反応·物質移動のLBM解析

摘要

リチウム空気電池は負極に金属リチウム，正極に空気中の酸素を利用する二次電池であり，理論エネルギー密度が非常に高く，電気自動車の航続距離をガソリン車に匹敵させることも可能である．特に水溶液系リチウム空気電池は塩化リチウム（LiCl）水溶液を電解質に用い，低コスト，低過電圧，高エネルギー密度などの様々な利点を有している．リチウム空気電池を実用化するためには，放電反応に伴う電池内部の物質移動に関する詳細な理解が必要であるが，電解液内や微細な多孔質構造から成る空気極内部における物質移動現象は明らかになっていない．そこで本研究では格子ボルツマン法(LBM)を用い，放電時における電解液中の電位分布，電流密度，酸素（O_2）濃度分布，リチウムイオン（Li~+）濃度分布を連成する数値解析手法を開発し，リチウム空気電池の性能を決定付けている因子について調べた．