エネルギー技術開発と次世代軽水炉開発の展望：超長期エネルギー技術ロードマップと原子力技術開発

摘要

世界エネルギー展望2007（World Energy Outlook 2007、IEA）の、現行の対策を前提とした標準シナリオでは、世界のエネルギー関連のCO_2排出量は、2005年から2030年にかけて5割以上増加するとしている。また世界の気温の平均的な上昇幅を、IPCCが示すシナリオのうち最低の2.4°Cに抑えるためには、温室効果ガスの大気中濃度を450ppmで安定化させる必要があるとされている。これを達成するためにIEAが示した検討例（450ppm安定化ケース）では、二酸化炭素の排出量を2050年までに2000年より50～85％削減しなければならない。これを実現するには、全ての国による極めて迅速かつ精力的な政策行動と多額のコストを伴う未曾有の技術進歩が必要とされる。さらに超長期、2100年を展望すれば、究極の低炭素社会、すなわち需要端では電気―水素社会がほとhど唯一の解とも考えられる。増大する世界の人口と貧困から脱出を図る途上国の生活のためのエネルギーへの要求に対応するには、需要では単に省エネではなくライフスタイル、考え方のパラダイムチェンジが求められると同時に、原子力エネルギーに代表される温暖化ガスと無縁のエネルギー技術の多様な利用がエネルギー生産側の解であることに疑問はない。その中での次世代軽水炉開発の意味と意義とは何であろうか?