コバルトフェライト薄膜の基板変形に伴う磁気異方性の変化

摘要

【はじめに】大きな一軸性磁気異方性を持つ磁性材料は、新たなスピントロニクス材料や永久磁石材料の候補として魅力的である。結晶を歪ませることで生じる磁気弾性効果や、界面での対称性の低下に起因した界面磁気異方性が垂直（一軸）磁気異方性を増大させるのに有効である。前者では例えば正方歪が与えられた場合、磁気弾性定数B1が、歪量と誘導磁気異方性を結びつける。薄膜形状の試料において磁気弾性定数を測定するには、歪の大きさを変えた試料を複数用意するなど手間がかかる。そこで、我々は一つの試料に応力を導入することにより歪の大きさを連続的に変化させながら磁気異方性を測定することで、磁気弾性定数を簡易的に求める方法について検討を行った。今回は大きな磁気異方性を示すコバルトフェライトを対象として、これに歪を与えることで誘導される磁気異方性の変化から磁気弾性定数B1を求めた。