脳磁計による脳機能計測: 記憶とコミュニケーションの神経基盤

摘要

脳磁計（Magnetoencephalography:MEG）は脳内の神経活動に伴って生じる微弱な磁場を頭部表面上で多点同時計測する機器である。受動的な計測であるため完全に無侵襲で、臨床のみならず、認知科学や心理学の研究にも幅広く活用されている。1967年の最初の脳磁場計測は誘導コイルによるものであったが、すぐに超伝導量子干渉素子（SQUID）による計測に置き換わり、それ以後、高性能のSQUIDを多数配列することによって脳磁計の性能が飛躍的に進歩した 1)。現在では光ポンピング磁力計による脳磁計も提案されているが、磁気雑音のシールドにも超伝導が活用されるなど、脳磁場計測と超伝導技術は長く不可分の関係にある。ここでは、最近の研究例を2つとり上げて紹介する。