尺取虫型柔軟配管検査ロボットの改良

摘要

2014 年時点で水道管の総延長66 万kmの約12.1％が法定寿命の40 年を超えている1)．毎年0.76％のみが更新され，全配管の交換には130 年を要する．そのため，緊急性の高い配管を特定するため配管検査が急務である．日本の水道管は多くの分岐を有し，従来のファイバースコープを使った方法では到達距離に問題がある．また自走式のロボットでは，配管の走破性が課題となり，ロボット自体が配管に合わせて変形し，スムーズに配管内を走破できるロボットが求められる．そこで，以前の研究で，伸長型柔軟空気圧アクチュエータ(以後EFPA と呼ぶ)を用いた柔軟な配管検査ロボットを提案・試作した．しかし，以前のロボットの配管保持機構は接触面積が小さく確実な保持ができないため，走破距離に制限があるなどの問題を生じた．そこで本報告では，走破性の向上と検査範囲の拡大をめざし，動特性の観点から容積変化が少なく，さらに配管との接触面積が広い配管保持機構を提案するとともに， 管路径が75 mm と50 mm の2 種類の配管保持機構を提案，試作する．また，これらの配管保持機構と新しい湾曲伸縮機構を使用した配管検査ロボットを試作し，複雑な配管内での走行実験を行った結果について報告する．