AHP の階層構造を利用したアンケートにもとづく集団意思決定支援方法

摘要

近年、情報技術や情報システムを利用して複数の人間の意向を考慮して合意形成や問題解決を行う方法として、集団意思決定支援システム(Group Decision SupportSystem :GDSS)が多数提案されている。GDSS の形態は意思決定の物理的な距離の違い（近距離あるいは遠距離）や時間距離の違い（同時的あるいは非同時的）などによって分類されるが、主なものとしてはグループウェアで用いられるコミュニケーションを支援するシステムや電子掲示板などがあげられる。GDSS のうち、旅行先の決定のように集団で複数の代替案から１つの代替案を選択する合意形成を行うために有効な方法としてAHP(AnalyticHierarchy Process)を利用する方法が存在する。AHP は決定を行う個人の感覚的判断も取り込hだ、利用者がより納得しやすい意思決定支援方法である。AHP を利用して合計形成を行う方法としては、これまでに評価関数を利用して意見を集約する方法、ファジイクラスタリングの仕組みを利用して意見を集約する方法、などが提案されている。ただしＡＨＰは評価基準の評価値と評価基準ごとの代替案の評価値の掛け合わせを行う。このため、AHP は高い評価値を持つ評価基準に対応する代替案が評価されるため、合意形成には不向きであるという問題が存在する。