エクスターナルグリッドにおける信頼できる計算機による処理間依存関係の隠蔽効果の最大化

摘要

分散処理技術の一つであるグリッドコンピューティングとは，複数の計算機に処理の委託をすることで高い処理能力を獲得する技術のことである．特に，インターネット上にある不特定多数の計算機を利用する技術はエクスターナルグリッドと呼ばれ，使用可能な計算機の台数にほとhど制限がないという利点を備えている．一方で，使用する計算機の中に悪人の所有する計算機が混入し，処理内容の解析や誤った処理結果の出力を行われるリスクがあるため，現在はこれらを問題視しないような限られた目的でしか使用されていない．これらの問題点の解決策の一つとして，信頼できる計算機に処理の一部を委託し，悪人から保護する『断片の保護』と呼ばれる技術がある．しかし，保護量の増加は，隠蔽できる情報量の増加と引き換えに，グリッド全体の処理速度の低下を引き起こしてしまう[1]．